名前が変わりました その3

お友だち(女性ミュージシャン)のバースデーライブへ行くために車で岐阜を目指した私。

予定より早く着いたのをキッカケに興味本位で『姓名判断』と書かれた昭和の香り高い、まるで不動産屋のような占いの館へ吸い込まれていったのでした。

ギシギシと建てつけの微妙な引き戸を開けると、高齢の男性が電話口で誰かと話をしていて、お爺さんといえばお爺さんなのだけど背が高くて、オフホワイトのスーツを着こなし、高そうな棒タイが静かに自己主張していました。

彼は私に気づくと、そそくさと電話を切り「どーぞ」と古びた一人掛けのソファーに座るよう促しました。

そこから先のことは、それはそれは長くて「ああ・・・私、バースデーライブに遅れるかも」と思うほど長ぁーい道のり(説明)でした。

渡された名刺に書かれた肩書きがユニークだったこと、使い込まれた文具たち。

お爺さんの話しかた、ボロボロになった資料。

改名を終えて手渡される日を待つ何通もの封筒に書かれた墨字。

今の名前から次の名前が何になるのか?その場ではわからないという。

「え?変テコな名前になったらどーしよう」
「でもちょっと生まれ変わったっぽくていいかも」

「ではお願いします!お金払って帰ります!」
「名前できたら電話ください!はいコレ」

と現金を置いて、私は占いの館を出ました。

だってほんとにバースデーライブに遅れそうだったんです。

— つづく —